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小規模事業者の納税義務の免除 [納税義務]

1.小規模事業者の納税義務の免除
消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1千万円以下の事業者は、納税の義務が免除される。この納税の義務が免除される事業者を「免税事業者」という。(法9条1項)

なお、平成16年4月1日前に開始した課税期間については、基準期間における課税売上高が3千万円以下であれば免税事業者となる。

(1)納税義務の判定
免税事業者となるか否かについては、基準期間における課税売上高によって判定する。

(2)基準期間
納税義務の有無を判定する基準となる期間をいう(法2①十四)。

 ・個人事業者=その年の前々年
 ・法人    =その事業年度の前々事業年度
 ※基準期間が1年でない法人の場合は、原則として、1年相当に換算した金額により判定する
  具体的には、基準期間中の課税売上高を、基準期間に含まれる事業年度の月数で割った額に12を掛けて計算した金額により判定

(3)課税売上高
基準期間中の国内において行った課税資産の譲渡等の対価の額の合計額(税抜き)から、売上げの返品、値引き、割戻しの金額(税抜き)を控除した金額をいい、基準期間が1年でない法人については、その金額を1年分に換算した金額とする(法9②一、二)。

 課税売上高=課税資産の譲渡等の対価の額の合計額(税抜)-返品・値引き・割戻し(税抜)
  ↑
 この「課税売上高」が「1千万円超」か「1千万円以下」かにより納税義務を判断する(法9①)

なお、基準期間において免税事業者であった場合には、その基準期間中の課税売上高には、消費税が含まれていないため、基準期間の課税売上高を計算するときには税抜きの処理は行わない。
新たに設立された法人については、設立1期目及び2期目の基準期間はないので、原則として納税義務が免除される。
しかし、基準期間のない事業年度であってもその事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が、1千万円以上である場合は、納税義務は免除されない。(法12の2)

2.課税事業者を選択する旨の届出
免税事業者は課税事業者になることを選択することができ、その旨の届出書(消費税課税事業者選択届出書)を所轄税務署長に提出した場合には、原則として、提出した日の属する課税期間の翌課税期間以後は課税事業者になる(法9④)。

免税事業者は、仕入れ等にかかった消費税額の控除ができないため、その還付は受けられない。
このため、輸出業者のように経常的に消費税額が還付になる事業者等は、還付を受けるために課税事業者となることを選択することができる。

課税事業者を選択した事業者が特例をやめようとするときは、その旨の届出書(消費税課税事業者選択不適用届出書)の提出を要するが(法9⑤)、その旨の届出書を所轄税務署長に提出した場合には、その提出をした日の属する課税期間の翌課税期間以後、課税事業者選択届出書の効力は失われる。
なお、この不適用届出書は、事業を廃止した場合を除き、課税事業者の選択によって納税義務者となった課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ提出することができない。したがって、最低2年間は課税事業者として申告・納税義務を負うこととなる。

■消費税法 9条(小規模事業者に係る納税義務の免除)
1 事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務を免除する。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
2 前項に規定する基準期間における課税売上高とは、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ当該各号に定める金額をいう。
 一  個人事業者及び基準期間が一年である法人 基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額(第二十八条第一項に規定する対価の額をいう。以下この項及び第十一条第四項において同じ。)の合計額から、イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金額の合計額(以下この項及び第十一条第四項において「売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額」という。)を控除した残額
  イ 基準期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額
  ロ 基準期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に百分の百二十五を乗じて算出した金額
 二  基準期間が一年でない法人 基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から当該基準期間における売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額を当該法人の当該基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに十二を乗じて計算した金額
3 前項第二号の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。
4 第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除されることとなる事業者が、その基準期間における課税売上高(同項に規定する基準期間における課税売上高をいう。第十一条第四項、第十二条第三項及び第十五条を除き、以下この章において同じ。)が千万円以下である課税期間につき、第一項本文の規定の適用を受けない旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出した場合には、当該提出をした事業者が当該提出をした日の属する課税期間の翌課税期間(当該提出をした日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間である場合には、当該課税期間)以後の課税期間(その基準期間における課税売上高が千万円を超える課税期間を除く。)中に国内において行う課税資産の譲渡等については、同項本文の規定は、適用しない。
5 前項の規定による届出書を提出した事業者は、同項の規定の適用を受けることをやめようとするとき又は事業を廃止したときは、その旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。 6 前項の場合において、第四項の規定による届出書を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き、同項に規定する翌課税期間の初日から二年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、同項の規定の適用を受けることをやめようとする旨を記載した届出書を提出することができない。
7 第五項の規定による届出書の提出があつたときは、その提出があつた日の属する課税期間の末日の翌日以後は、第四項の規定による届出は、その効力を失う。
8 やむを得ない事情があるため第四項又は第五項の規定による届出書を第四項の規定の適用を受けようとし、又は受けることをやめようとする課税期間の初日の前日までに提出できなかつた場合における同項又は前項の規定の適用の特例については、政令で定める。






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納税義務者 [納税義務]

消費税は、商品の販売、資産の貸付け、サービスの提供及び保税地域から引き取られる外国貨物に対して課税される。この消費税を国に納める義務のある者、すなわち、納税義務者は、事業者外国貨物を保税地域から引き取る者である。(法5条)

 ・国内取引=国内において課税資産の譲渡等を行った事業者
 ・輸入取引=課税貨物を保税地域から引き取る者

1.国内取引の納税義務者
国内取引の納税義務者は、国内において課税資産の譲渡等を行った事業者である(法5条1項)。
この場合の「事業者」とは、『個人事業者』及び『法人』をいい、国、地方公共団体、公共法人、公益法人等、人格のない社団等も含まれる。
また、事業者であれば、国内に住所又は居所を有しているか否かを問わず、いかなる事業者であっても、国内において課税の対象となる取引を行う限り、納税義務者となる。

2.輸入取引の納税義務者
輸入取引の納税義務者は、課税貨物を保税地域から引き取る者である(法5条2項)。
国内取引については、事業者のみが納税義務者となるが、輸入取引については、事業者のほか消費者個人が輸入者となる場合も納税義務者となる。つまり、事業者だけでなくサラリーマンや家庭の主婦なども輸入品を引き取った場合には、納税義務を負うことになる。
これは、消費者個人が直接物品を輸入した際に課税しなければ、国内取引の物品との間に不均衡が生じるからである。


■消費税法 5条(納税義務者)
1 事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等につき、この法律により、消費税を納める義務がある。
2 外国貨物を保税地域から引き取る者は、課税貨物につき、この法律により、消費税を納める義務がある。




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非課税取引13 住宅の貸付け関係 [非課税と免税]

住宅の貸付けは非課税取引となる。

・住宅とは、人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分をいい、一戸建ての住宅のほかマンション、アパート、社宅、寮等が含まれる。

・契約において人の居住の用に供することが明らかにされているものに限られ、その貸付けに係る期間が1月に満たない場合又はその貸付けが旅館業法に規定する旅館業に係る施設の貸付けに該当する場合(旅館、ホテル等)は除かれる。

■消費税法施行令16条の2(住宅の貸付けから除外される場合)
法別表第一第十三号に規定する政令で定める場合は、同号に規定する住宅の貸付けに係る期間が一月に満たない場合及び当該貸付けが旅館業法 (昭和二十三年法律第百三十八号)第二条第一項 (定義)に規定する旅館業に係る施設の貸付けに該当する場合とする。

【参考通達】
■6-13-1(住宅の貸付けの範囲)
法別表第一第13号《住宅の貸付け》に規定する「住宅の貸付け」には、庭、塀その他これらに類するもので、通 常、住宅に付随して貸し付けられると認められるもの及び家具、じゅうたん、照明設備、冷暖房設備その他これらに類するもので住宅の附属設備として、住宅と一体となって貸し付けられると認められるものは含まれる。
なお、住宅の附属設備又は通常住宅に付随する施設等と認められるものであっても、当事者間において住宅とは別 の賃貸借の目的物として、住宅の貸付けの対価とは別に使用料等を収受している場合には、当該設備又は施設の使用料等は非課税とはならない。

■6-13-2(プール、アスレチック施設等付き住宅の貸付け)
プール、アスレチック施設等を備えた住宅の貸付けにおいて、例えば当該施設等を居住者以外の者も利用でき、かつ、当該居住者以外の者が利用する場合に利用料(月決め又は年決めの会費等を含む。)を徴収している場合等には、居住者について家賃の一部としてその利用料に相当する額が収受されていても、当該施設等の貸付けは住宅の貸付けには含まれないのであるから留意する。

■6-13-3(駐車場付き住宅の貸付け)
駐車場付き住宅としてその全体が住宅の貸付けとされる駐車場には、一戸建住宅に係る駐車場のほか、集合住宅に係る駐車場で入居者について1戸当たり1台分以上の駐車スペースが確保されており、かつ、自動車の保有の有無にかかわらず割り当てられる等の場合で、住宅の貸付けの対価とは別に駐車場使用料等を収受していないものが該当する。

■6-13-4(旅館業に該当するものの範囲)
令第16条の2《住宅の貸付けから除外される場合》に規定する旅館業法第2条第1項《定義》に規定する旅館業には、ホテル営業、旅館営業、簡易宿泊所営業及び下宿営業が該当するのであるから留意する。
したがって、ホテル、旅館のほか同法の適用を受けるリゾートマンション、貸別荘等は、たとえこれらの施設の利用期間が1月以上となる場合であっても非課税とはならない。なお、貸家業及び貸間業(学生等に部屋等を提供して生活させるいわゆる「下宿」と称するものを含む。)については、同法第2条第1項に規定する旅館業には該当しないのであるから留意する。

■6-13-5(店舗等併設住宅の取扱い)
住宅と店舗又は事務所等の事業用施設が併設されている建物を一括して貸し付ける場合には、住宅として貸し付けた部分のみが非課税となるのであるから留意する。
(注)この場合は、建物の貸付けに係る対価の額を住宅の貸付けに係る対価の額と事業用の施設の貸付けに係る対価の額とに合理的に区分することとなる。

■6-13-6(住宅の貸付けと役務の提供が混合した契約の取扱い)
一の契約で非課税となる住宅の貸付けと課税となる役務の提供を約している場合には、この契約に係る対価の額を住宅の貸付けに係る対価の額と役務の提供に係る対価の額に合理的に区分するものとする。
(注)この契約に該当するものとして、例えば、有料老人ホーム、ケア付住宅、食事付の貸間、食事付の寄宿舎等がある。

■6-13-7(転貸する場合の取扱い)
住宅用の建物を賃貸する場合において、賃借人が自ら使用しない場合であっても、当該賃貸借に係る契約において、賃借人が住宅として転貸することが契約書その他において明らかな場合には、当該住宅用の建物の貸付けは、住宅の貸付けに含まれるのであるから留意する。
(注)この場合において、賃借人が行う住宅の転貸も住宅の貸付けに該当する

■6-13-8(用途変更の場合の取扱い)
貸付けに係る契約において住宅として貸し付けられた建物について、契約当事者間で住宅以外の用途に変更することについて契約変更した場合には、契約変更後の当該建物の貸付けは、課税資産の譲渡等に該当することとなる。
(注)貸付けに係る契約において住宅として借り受けている建物を賃借人が賃貸人との契約変更を行わずに、当該賃借人において事業の用に供したとしても、当該建物の借受けは、当該賃借人の課税仕入れに該当しないのであるから留意する。

■6-13-9(家賃の範囲)
家賃には、月決め等の家賃のほか、敷金、保証金、一時金等のうち返還しない部分及び共同住宅における共用部分に係る費用を入居者が応分に負担するいわゆる共益費(6-13-1、6-13-2又は6-13-3の規定により住宅の貸付けに含まれないこととされる施設等に係る費用部分を除く。)も含まれることに留意する。






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